山口貴由
オレは、けっこう漫画も読むほうだ。でも、それなりに選んで読んでいて、漫画を読まない大人にも勧められる内容のあるものを読んでいると思う。
アイデアや構成がすぐれていたり、十分な調査に裏づけされていて、たまたま活字ではなく漫画という手法を選んでいるだけで、作品と言っていい漫画というのはたくさんあると思っている。(ダメなもんも勿論あります)
今回、書店で、「覚悟のススメ」というのを見つけた。武士道的な匂いを感じ、それなりに内容があるかなあと思って、1巻を買って帰った。
衝撃だった。
この衝撃をうまく説明できるかどうか、とりあえず、やってみよう。
「世界征服をめざす悪の秘密結社が、小鳩幼稚園の園児の誘拐を企む」「それを阻止するための正義のヒーロ」というシナリオを毎回やっていた番組があった。設定や背景の無茶さ加減は、その匂いがする。
さらに敵キャラは、「胸に挿した五寸釘を戦闘員にうたせることによって、呪い攻撃をする呪い怪人」「キライキライ、パパがキライと歌を歌い子供を惑わす怪人大機雷」と同等の、ばかばかしい相手。
もうひとつ例をあげれば、映画サタディーナイトフィーバーが流行し、ディスコが話題になった時代、世界のダンサーが踊りながら悪を倒すという「バトルフィーバJ」という番組。これにも匹敵する無茶苦茶な設定。
こういった、かなり苦しいお膳立ての中、登場人物の台詞が、またとんでもない。
「校舎に敬礼」「覚悟完了!」「認識を侵略する。」「おまえの愛は侵略行為、当方に迎撃の準備あり。」「因果」「南無」「堕ちる」
頭がおかしくなりそうな使い方の日本語。これ、子供に読ませるのはスゴク心配だ・・。きっと国語の成績下がるぞ。
この作者、最近の作品は人気が出てアニメ化される(された?)が、この覚悟のススメは、10年前の連載。たぶん今はもう少しちゃんとしてるだろうけど・・。
連載当時、週刊誌の巻末にあった作者のメッセージが収録されていて、それもスゴイ。
「若い奴が、温泉、温泉と騒ぐな!温泉は傷ついた動物が行くところだ」などなど、熱いメッセージばかり。
武士道と大日本帝国の軍国主義とが、ぐちゃぐちゃに混じっている。そういえば「覚悟のススメ」って「学問のススメ」のモジリだろ? 福沢諭吉は、武士道も軍国主義も関係ないぞ・・。
そんなメチャクチャな「覚悟のススメ」は、とても、普段漫画を読まない大人には勧められない。しかし、「漫画は文化だ」「漫画をあなどるな」という大人には、ぜひ、すすめたい。なぜなら、有り余るほどの欠点、突っ込みどころ満載なんだが、とにかく「勢い」がとんでもない。
断言する。取柄は勢いだけだ。それ以外、いいところはない。
しかし、おれは・・1巻でやめずに、翌日・・2巻も買ってしまった・・。勢いに負けたのだ。
「正しき日本語への侵略行為と認識する」「当方に購入の準備あり」
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